カッターナイフの刃には、刃先の角度が30°と60°の2種類があります。一般的によく使われているのは60°の刃ですが、より細かいカットをするときには30°の刃が重宝します。刃先が細いのでカット面が見やすくなります。自動車のガラスフィルムやカッティングシートを貼る作業、部屋の壁紙の貼り替え、切り絵、模型製作、消しゴム判子制作など、細かい作業には最適な刃ですね。
今回はオルファの「細工細工カッター141B」、NTカッターの「PRO AD-2P」、SDIの「プレシジョンカッター」の3つをレビューします。
もくじ
30°刃のカッターのパッケージ
▲左からプレシジョンカッター、細工カッター141B、PRO AD-2Pです。文具店やホームセンターなどでよく見掛けるカッターナイフですね。
一見すると同じように見えるカッターナイフ(オルファとNTカッター)もありますが、実際に手に取ってみるとそれぞれに特徴があります。
SDI プレシジョンカッターの特徴
▲刃をスライドさせた状態です。
▲まずは特徴的なのがこのフォルム。人間工学に基づいて設計されているそうです。確かにフィット感が良く手に馴染みます。逆三角形フォルムで人差し指で押さえる箇所が平面なので、刃先のコントロールがしやすいです。細かい作業でも手が痛くなりません。また、左右対称の形をしているので左右の手どちらでも使用することができます。また、上部のスライダーはオートロック式で、刃が不意に移動することはありません。8kgの加圧まで耐えることができます。
▲透明クランプは残りの刃を確認することができるとともに、刃先にフィットして刃振れを押さえる役目をします。写真のように刃を長く出し過ぎると、刃自体の薄さでブレますので、使用するときは1つ目のラインのあたりまで刃を出して使用するのがおすすめです。また、透明クランプに溝があり、刃の一部が露出しています。ここで糸や紐などをカットすることができます。溝に指を強く押し当てても刃まで届くことはないので安心です。
▲ボディの後方に刃を折るためのスナッパーを搭載しています。
オルファ 細工カッターの特徴
▲30°カッターでは定番のオルファ細工カッターです。
ホルダーはステンレスの研磨仕上げでとても丈夫です。見た目はシンプルですが質の良さを感じる本体です。スライダーはオートロック式なので不意に刃が動くことがない安全設計です。ブラックのスライダーに30°刃のシルエットや「OLFA」のロゴが映えます。ひと目で細工カッターだと分かるデザインです。
スリムなホルダーはとても持ちやすく。細かいカッティングに最適です。プレシジョンカッターの持ち心地とはまた違う良さがありますね。よりすっぽり手に収まるので、プレシジョンカッターよりも細かい作業ができる印象です。
▲ホルダーの裏側には「OLFA CUTTER JAPAN」が刻まれています。
一枚のステンレスを加工して作られたホルダーは、とにかくカッコイイです。先端の微妙な角度が美しいです(個人的主観です)。カッターの後方にはクリップ兼スナッパーが搭載されています。仕事などで使用する場合は作業着の胸ポケットに固定することができます。
▲スナッパーとして使用する場合はホルダーから取り外します。
ホルダーの先端は上下対象の形をしていますので、刃を裏返して装着しれば左利き用として使うことができます。
ココに注意
刃は切れ味が鋭いです。裏返すときや交換するときは十分に注意が必要です。
NTカッター PRO AD-2Pの特徴
▲オルファの細工カッターと同様に30°カッターの定番です。
ホルダーはホルダーはステンレスの研磨仕上げでとても丈夫で美しいです。ホルダーは一枚のステンレスを加工して作られています。ホルダーのフチに「NT CUTTER STAINLESS STEEL」と控えめに刻まれています。目立つロゴの表記は無く、まさしくPRO仕様のカッターナイフという印象ですね。
▲オートストップスライダーはシルバー部分も含めて樹脂製です。
PRO AD-2Pの最大の特徴は、スライドさせるホルダーの”ギザギザ”の多さです。オルファの細工カッターと比べると、その数の違いがよく分かると思いますが、これにより刃先の長さを細かく調整することができるんです。なめらかなスライダーのクリック感、スライドするときの音が心地良いんです。ギア数の多いラチェットレンチと、少ないラチェットレンチの違いのような感覚です。
▲ホルダーの裏側には「NT CUTTER RRO A JAPAN PATENTED」と刻まれています。
ホルダーの先端はなめらかな曲がりの加工がしてあります。オルファ細工カッターぼ先端は”曲げ”がはっきりしていますが、PRO AD-2Pは角の無いなめらかな加工です。もはや芸術品です。
クリップ兼スナッパーは、丸いレッドのパーツが良いアクセントになっていて、ホルダーと一体に見えるデザインです。こんな小さなカッターナイフですが、ひとつの作品のような質感の良さを感じます。
▲クリップには「SNAPPER」の刻印があります。
ホルダーは左利きにも対応します。先端に「RIGHT」と「LEFT」が刻まれていて、刃を裏返して利き手に合わせて使用することができます。この辺りの細かい仕様がPROのこだわりを感じますね。
ココに注意
刃は切れ味が鋭いです。裏返すときや交換するときは十分に注意が必要です。
30°替刃の互換性
プレシジョンカッター | オルファの刃 | △ 使用可能だがグラつく |
プレスジョンカッター | NTカッターの刃 | ◎ 使用可能 |
オルファ細工カッター | プレシジョンカッターの刃 | ◎使用可能 |
オルファ細工カッター | NTカッターの刃 | ◎使用可能 |
NTカッターPRO AD-2P | プレシジョンカッターの刃 | ◎使用可能 |
NTカッターPRO AD-2P | オルファの刃 | ◎使用可能 |
各カッターナイフの刃は、取り付け箇所の形状が、写真のとおりそれぞれ違いがありますが、それぞれの使用は可能です。但し、プレシジョンカッターにオルファの刃を使用するとグラつきがあります。プレシジョンカッターは他社の替刃と互換性が無いとの情報もありましたが、実際に試してみたらNTカッターの刃は使用可能でした。この3つのカッターナイフを所有する場合は、NTカッターの替刃だけを持っていればすべてに対応できます。
30°刃のカッターナイフ レビューまとめ
形状による違いはありますが(オルファとNTカッターは似ている)、3つのカッターナイフはそれぞれが使いやすいです。ただ、細かいカッティング作業をする場合、ボディが太めのプレシジョンカッターよりも、コンパクトな細工カッターやPRO AD-2Pの方が使いやすいと思いました。また、一つの道具として見た場合、丈夫なステンレスホルダーと造形美は魅力的です。これは個人的な好みにもよると思うので、文房具的なプレシジョンカッターの方が良いという方もいると思います。
以上、30°刃のカッターナイフの比較レビューでした。